時代ごとのアイドルとアニメ(アニメソング)の関係性

いきなりですが、以下のアニメとその主題歌の一覧をご覧ください。

アニメ名主題歌歌手
みなしごハッチみなしごハッチ島崎由理
あしたのジョーあしたのジョー尾藤イサオ
エースをねらえ!エースをねらえ!大杉久美子
キャンディ♥キャンディキャンディ♥キャンディ堀江美都子
キューティーハニーキューティーハニー前川陽子
科学忍者隊ガッチャマンガッチャマンの歌子門真人
宇宙戦艦ヤマト宇宙戦艦ヤマト佐々木功
デビルマンデビルマンの歌十田敬三
魔女っ子メグちゃん魔女っ子メグちゃん前川陽子

これは1970年代に流行ったアニメとその主題歌の一覧で、多くの人は何となく主題歌が頭に浮かぶのではないでしょうか?
これらアニメの主題歌は、アニメの内容がそのまま歌詞になっていて、そのアニメでしか使えないような楽曲となっています。(曲名もほとんどアニメのタイトル通り)
1970年代のアニメは、ほとんど例外なくこういった主題歌がアニメに採用されていました。
歌唱している人もほとんどがアニメソングを専門的に扱う歌手で、当時はこのような歌手たちが一般的な歌謡曲を歌う歌手よりも低く見られていたのです。

そして1981年、このような考えを大きく変えるアニメが登場します。

それが『うる星やつら』で、うる星やつらの主題歌は

オープニング曲
曲名歌手使用期間
ラムのラブソング松谷祐子1981年10月14日~1983年7月20日
DANCING STAR小林泉美1983年7月27日~1984年3月28日
パジャマ・じゃまだ!成清加奈子1984年4月11日~1984年9月26日
CHANCE ON LOVECINDY1984年10月17日~1985年3月27日
ROCK THE PLANETステファニー1985年4月3日~1985年7月17日
殿方ごめん遊ばせ南翔子1985年7月24日~1986年3月19日
エンディング曲
曲名歌手使用期間
宇宙は大ヘンだ!松谷祐子1981年10月14日~1982年4月2日
心細いなヘレン笹野1982年4月7日~1982年9月22日
星空サイクリングヴァージンVS1982年10月13日~1982年12月22日
I, I, YOU & 愛小林泉美1983年1月5日~1983年3月23日
星空サイクリングヴァージンVS1983年4月13日~1983年7月20日
夢はLOVE ME MORE小林泉美1983年7月27日~1984年3月28日
恋のメビウスリッツ1984年4月11日~1984年9月26日
OPEN INVITATIONCINDY1984年10月17日~1985年3月27日
エヴリデイステファニー1985年4月3日~1985年7月17日
GOOD LUCK 〜永遠より愛をこめて南翔子1985年7月24日~1986年3月19日

となっているのですが、最初のオープニング曲である『ラムのラブソング』は、ある程度アニメの内容と関連性はありますが、題名や登場人物といった具体名は歌詞を使わず、一般的な歌謡曲としても扱えるような内容になっています。
その後の『DANCING STAR』や『心細いな』も同様です。(このようなタイプの楽曲は『ベルサイユのばら』などが先行している)
そして最終的には、ほぼアニメの内容と関係のない楽曲が使われはじめ、1970年代のようなアニメ専門の楽曲とは全く違う様相を呈するのです。
歌う人もアニメソングの専門家ではない新人歌手などが採用され、また小まめに主題歌が変わるのも当時としては斬新で、こういったアニメ主題歌における変革は現在にまで引き継がれています。

当時のアニメソングにおける変化で分かりやすい例は、『機動戦士ガンダム』(1979年)と、その続編の『機動戦士Ζガンダム』(1985年)で顕著に表れています。
『機動戦士ガンダム』の方は主題歌の歌詞に『ガンダム』という単語が出てくるのに対し、『機動戦士Ζガンダム』は作品内容をほぼ加味しない主題歌になっているのです。
また、この時代のアニメ主題歌は歌う人もアニメソング専門ではなくなっていき、『キャッツ♥アイ』は一般的な歌手である杏里が歌いオリコン年間6位の大ヒットとなります。
『北斗の拳』では大都会のヒットで知られるクリスタルキングが主題歌を担当しました。
クリスタルキングのメンバーはアニメソングを歌うことに抵抗があったそうですが、後に莫大な著作権料を得ることとなり、アニメソングを歌って良かったと思ったそうです。
これは、この時代にまだ一般の歌手がアニメソングを歌うことに抵抗を感じていたエピソードと言えるでしょう。

このような当時のアニメ界の状況にアイドルも絡んでくるのです。

主人公の声優も務めた『魔法の天使クリィミーマミ』の太田貴子
映画版マクロス『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の劇中歌を歌った飯島真理
ラブコメ路線で全盛を誇った週刊少年サンデーで高橋留美子と双璧を成した“あだち充”原作の『タッチ』の主題歌を歌った岩崎良美
うる星やつらの後に放送された同じ高橋留美子原作『めぞん一刻』のオープニングテーマを歌った斉藤由貴
『ハイスクール奇面組』のほとんどのオープニングとエンディングを担当したうしろゆびさされ組
登場人物が自分自身そのものだった『アイドル伝説えり子』の田村英里子

などが、1980年代におけるアニメとアイドルの関係例です。

最近でも、『NARUTO -ナルト- 疾風伝』の14代目のオープニングテーマを歌った乃木坂46や、『ブラッククローバー』の2代目のオープニングテーマを歌ったBiSHなど、女性アイドルがアニメの主題歌を担当するケースはよくあります。
むしろ今日では、かつてのような該当アニメ専門の楽曲が採用されるケースは稀で、ほとんどがアニメと関係のない一般的な楽曲が主題歌として使われるようにまでなり、アニメのタイアップはアーティストにとっても大きな意味を持つようになっています。
このような状況から、最近はアニメごとの主題歌を集めたアルバムなどもそれなりにヒットしており、2019年には森口博子がガンダム関連の主題歌をカバーしたアルバムを発表し、自身最高となるオリコン3位を獲得し話題にもなりました。

更に1980年代終盤以降は声優自体もアイドル化していき(もっとも顕著な例は林原めぐみ)、こういった現象は現在でも続いているのですが、その源流もうる星やつらにあると言えるでしょう。
それどころか、オタク文化のほとんどをうる星やつらが作ったと言っても過言ではないのです。(ナウシカやクラリスなどといった美少女キャラを生み出した宮崎駿の影響もあるが)
うる星やつらは声優が出演するファンミーティングを定期的に行っていましたし、コスプレという文化を世間に広く認知させたのもラム(うる星やつらのヒロイン)のコスプレが初めてだったと思われます。(著名なラムのコスプレイヤーとして一本木蛮が誕生している)

このように1980年代のアイドルブームと同じ時代に誕生したアニメ『うる星やつら』が、それまでのアニメの考え方を大きく変え、その後のアニメ界に大きな影響を与えたことは間違いないのです。
以上、アイドルとアニメという二大オタク文化の関係性について考えてみました。

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