おニャン子クラブは、なぜオリコン1位を連発することができたのか?

スポンサーリンク

前回の記事で、おニャン子クラブブームの中、それまで最高4位だった岡田有希子のシングル曲(くちびるNetwork)が突然オリコン1位を獲得したことはおかしいのではないかという記事を書きました。

『くちびるNetwork』のオリコン1位は操作されたものなのか?
『くちびるNetwork』(1986年1月29日発売)と言えば岡田有希子の最後のシングルにして最大のヒット曲で、彼女にとって唯一のオリコンシングルチャート1位獲得曲となっています。 しかし、この『くちびるNetwork』のオリコン...

しかし、よくよく考えればデビュー曲からオリコン1位を連発したおニャン子クラブメンバーのほうがよっぽどおかしいと言えます。
1986年のオリコンシングルチャートでは、52週中36週(46曲中30曲)おニャン子クラブ関連が1位を獲得するという異常な状態となりました。
今回は、なぜおニャン子クラブ関連のシングルが、こんなにもオリコン1位を獲得出来たのかについて考えてみます。

まずは以下の表をご覧ください。

1980年代の音楽ソフトの売上数

※単位は1000枚

年数シングルレコードアルバムレコードシングルCDアルバムCDテープ類累計
1980年1043609058379965274908
1981年876858084986779255313
1982年787367318097604249520
1983年792186951897731246467
1984年7112868211636582890228595
1985年62139623772063874520219673
1986年60567454834512070872222041
1987年46250277456499274818213804
1988年2741912044255578998079489234490
1989年768023764709414342473967274542

参考元:音楽ソフト 種類別生産数量推移

1982年10月21日に発売が開始されたCDは1984年頃から少しずつ一般家庭にも浸透し、将来的にアナログレコードは持っていても使用価値がなくなってしまう可能性が出てきたため、消費者の買い控え現象が起こります。
販売する側も在庫を持つ意味がなくなるので生産数をギリギリまで減らし、結果として1980年に2749万枚あった音楽ソフト売り上げが1987年には2138万枚まで低下しました。
おニャン子クラブのデビューは1985年の夏で、1986年にはメンバーのソロデビューが相次ぎます。
つまり、おニャン子ブームは1980年代のもっともレコード売り上げが落ち込んでいた時期に起こっていたわけです。

※CD発売前から売り上げが低下している理由は以下の記事を参照。

1980年代の歌番組事情
1970年代から1980年代にかけては歌番組が高い人気を博しており、1980年代以降は『夜のヒットスタジオ』、『ザ・ベストテン』、『ザ・トップテン』という3つ歌番組が“3大音楽番組”として君臨していました。 以上の歌番組はいずれも...

では、こちらの表もご覧ください。

発売日歌手名シングル名累計売上
86/06/21ニャンギラス自分でゆーのもなんですけれど10.0万
86/09/10吉沢秋絵鏡の中の私12.1万
86/11/01おニャン子クラブ恋はくえすちょん12.3万
86/11/14新田恵利内緒で浪漫映画11.5万
86/10/22河合その子悲しい夜を止めて12.8万
86/12/03国生さゆりあの夏のバイク10.9万
87/01/21おニャン子クラブNO MORE恋愛ごっこ11.8万
87/02/21うしろゆびさされ組かしこ12.3万
87/03/18高井麻巳子かげろう10.7万
87/04/08渡辺満里奈マリーナの夏11.4万
87/04/15渡辺美奈代PINKのCHAO12.7万
87/05/07うしろ髪ひかれ隊時の河を越えて11.4万
87/05/21おニャン子クラブかたつむりサンバ7.2万
87/07/15渡辺満里奈夏休みだけのサイドシート8.3万
87/07/29渡辺美奈代アマリリス11.4万

この表は、おニャン子クラブ関連のオリコン1位獲得シングルの中から、累計売り上げが15万枚以下だったものを抽出したものです。

前回の記事で岡田有希子の『くちびるNetwork』は、他のアイドルのオリコン1位シングルより売り上げが少ないと書きましたが、上記のおニャン子クラブ勢はもっともっと少ない枚数でオリコン1位を獲得しています。(『くちびるNetwork』の累計売り上げは23.1万枚)
以上のように、当時はかなり少ない枚数でオリコンシングルチャートの1位を獲得できたわけです。

そのため、ブーム的な人気を得ていたおニャン子クラブのシングルではオリコン1位の連発という結果が起こりやすく(ブーム的な人気の場合は買い控え現象があまり起こらないため)、また岡田有希子の『くちびるNetwork』のように予想外のオリコン1位獲得シングルも誕生しやすかったものと思われます。
前回の記事では、事務所の買い支えによるオリコンの順位操作について考えてみましたが、おニャン子クラブが異常なまでにオリコン1位を獲得したことにしても、岡田有希子が突然オリコン1位を獲得したことにしても、その要因の大半は音楽を聴く媒体が変わったことによる音楽ソフトの売り上げ低下にあるものと想定されます。

スポンサーリンク

当記事に登場したアイドルの記事

史上最強の素人集団『おニャン子クラブ』
おニャン子クラブプロフィール メンバー生年月日 下記参照 結成日 1985年4月1日 キャッチフレーズ - レコードデビュー 1985年7月5日(セーラー服を脱がさないで) 主要音楽祭受賞歴(最優秀新人賞)...
彼女はなぜ自ら死を選んだのか?『岡田有希子』
岡田有希子プロフィール 生年月日 1967年8月22日(1986年4月8日没) 芸能界入り スター誕生! キャッチフレーズ いつまでも、一緒にいてね。 ステキの国からやって来たリトル・プリン...
80年代アイドルのシングル売上ランキングから見える5人とは?
1980年代と言えば、数々の女性アイドルが誕生し、また多数のヒット曲が生まれたというイメージがあるかと思います。 しかし、それは事実でしょうか? と疑問を問いかけたところで答えは返ってこないので、実際に80年代の女性アイ...
アイドル小ネタ
プロフィール
究極DD(管理人)
【自己紹介】
名前:究極DD
年齢:思ったより若い
所在地:関東平野(情報が関東に偏る)
性格:生まれ持ってのデータ厨
好きなもの:女性アイドル
好きな番組:ザ・ベストテン
好きなドラマ:大映ドラマ
嫌いなもの:男性アイドル
専門分野:90年代の女性アイドルグループ
Twitter:https://twitter.com/idol20th
【サイト説明】
近年、You Tubeなどの動画サイトの影響か、中高生などの若い世代に70年代アイドル・80年代アイドル・90年代アイドルなどのファンが増えているそうです。
その一方で、インターネット環境の変化からサイトの閉鎖が相次ぎ、かつてネット上で書かれていたアイドルの情報が損失していっています。
自分はアイドルオタクというほどアイドルにハマっていたわけではありませんが、若い世代に20世紀に活躍したアイドルたちのことを語り継いでほしいので、自分の知り得るアイドルの情報を今のうちに書き残していきたいと思います。
アイドルブームの時代を生きた一般人目線のアイドル論を是非ご覧ください!
※執筆依頼は、『執筆依頼について』を参照してください。
フォローする
究極DD(管理人)をフォローする
20世紀アイドルの肖像

コメント

タイトルとURLをコピーしました